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NO.003 全ての生活シーンで活躍する本当の意味でのPDAを実現して欲しい

NO.003 全ての生活シーンで活躍する本当の意味でのPDAを実現して欲しい

デジタルハリウッド
学校長
杉山 知之氏

 携帯電話は、今や単に電話ではない。だから国際的にもMobile Phoneと呼ぶべきではないと、私は考えている。日本で、ケータイで通るように、国際的にもKtaiと呼ぶことにしてしまってはどうだろうか?
さて、本稿では、BREWのアプローチが、なぜ重要と思えるかについて、コンピュータ史を通じて考察してみることとしたい。

 ケータイを、コンピュータ史という流れの中で、デジタルメディアとかデジタルコミュニケーションという観点から見ると2つのことが言えると思う。

 まず、第二次世界大戦さなか弾道計算や暗号解読から始まったコンピュータが、単なる電子計算機ということに留まらず、文字、グラフィック、音、そしてビデオ映像、さらに3次元リアルタイムCGと、扱うメディアをじょじょに増やしていった歴史が見えてくる。増やしたと言っても、扱うメディアは、基本的にオーディオとビジュアルに限られてきたわけだが、他の感覚にも伸ばすことは行われている。例えば、力覚ディスプレイといって、触覚の一部を表現するような入出力システムもすでに製品化されている。また臭覚に関しても、いろいろな臭いを発生する機械があるので、こうしたものもコンピュータの出力として利用されるようになるだろう。取扱うメディアを増やすというのが、コンピュータのひとつの歴史というわけだ。

 もうひとつの歴史は、コンピュータと私達人間の距離が縮まってきたという事実だ。30年前、私が初めて出会ったコンピュータは、メインフレームコンピュータだった。私とコンピュータの距離は、ずいぶんと離れていた。研究室から、エレベーターに乗って、歩いて、他の建物に行き、その中を歩いていくと、鉄の扉があり、そこに、大型計算機センターという看板がある。その重い鉄の扉を開けると、部屋の中にガラスの仕切りがあり、その向こうにメインフレームコンピュータが、白衣を来たオペレータに守られていて、鎮座していた。ユーザーであるのに、私は、直接、コンピュータに触ることもできなかった。
そんな距離から始まって、すぐに研究室の隣の部屋にミニコンピュータがやって来て、ついに直接、コンピュータを触ってオペレーションをするようになった。
そして、デスクトップコンピュータが、机の上にやってきた。これで、毎日、いつでもコンピュータを使うことができるようになった。そして、Laptopコンピュータが現れ、どこにでも運べるようになり、モバイルの時代になった。PDAや携帯電話といった非常に小さいコンピュータが、全人類に普及するというステージになってしまった。
この四半世紀の間に、コンピュータは、ついに、人間の肌の上まで到達し、今や、インプラントコンピュータとして、体内にまで入り込む勢いだ。

 日本では、携帯電話とパソコンを異なる文化のものだと考える人が多くいるが、歴史的に見れば、コンピュータ発展の当然の帰結として、ケータイがあるといえる。そして、ケータイがコンピュータであるからこそ、前述のような、ありとあらゆるメディアがケータイにも乗ってきてしまうのである。また、さらに身につけているからこそ、実用になるいろいろなアイデアがケータイに盛り込まれることになっていく。

電話をすることしかできなかった携帯電話に、まずメール機能がつき、その後、どんどん扱えるメディアが増えたということは、まさにコンピュータの発展の王道といえるのである。時計代わりになり、ウェブサイトが閲覧でき、写真が撮れ、ショートムービーも撮れ、3DCGがリアルタイムで動き、ゲーム機にもなり、MP3音源が聞けて、GPS機能も入ってしまった。テレビ電話も普及段階に入り、今後は、歩数計、血圧計、体温計なんていう健康系も入ってくるのだろう。もちろん電子マネー、電子チケット、電子定期、クレジットカードの機能が付き、指紋照合、虹彩照合など、人物特定のデバイスとしても有効そうだ。

 これらケータイに組み込まれるいろいろな機能は、ほとんどすべてが、ネットを通じてのサービスがあるアプリケーションとなるはずである。ケータイが個人生活を支える大きな存在になる以上、ハッキングの対象となるリスクは、ますます上がっていくということが予想される。日本のコンシューマ市場は、貪欲に新たなアプリ、サービス、メディアを、これからもケータイに求めていくだろう。このままでは、ケータイのハード開発側も、アプリケーション開発側にも、ますます負担がかかる状態になっていくことは目に見えている。

 そこに新たなソリューションとして、チップセットと同化しているほどのOSが必用であることは、マーケットの要求を満たす上でも必然であったと考えられるのである。BREWの開発言語は、一般的なプログラミングの知識でカバーができ、必要そうなライブラリも豊富に用意されている。このことにより、開発者は、チップセットの性能を最大限に引き出すことができるのである。BREWは、ケータイコンテンツ開発者に優しい環境といえる。

 さらに認証登録制により、セキュアなアプリの配信システムが用意されている。これは、BREWコンテンツ事業会社にとっては、たいへん重要なポイントである。事業会社は、世界800万台に及ぶBREW端末に、サービスやコンテンツビジネスを、権利保護された形で広げていける下地を、最初から持っていることになるからである。

 私は、ケータイの世界が、ビジネスからプライベートまで含めて、すべての生活シーンで活躍する本当の意味でのPDA(Personal Digital Assistance)を実現して欲しいのである。そのためには、もっともっと多くの開発者たちが、コンテンツやサービスを構築していかなくてはならないのである。そういう状況に対して、クアルコム社は、BREWという解答を私たちに提示したのである。私たちは、まずBREWを知り、そして実際に使い、さらにその体験から、BREWに対して、どんどん新たな提案をするような循環を作るべきなのだ。それが、ケータイを利用する新たなビジネスを広げる力にも繋がっていくのである。